スイスの視点を10言語で

スイスの非常任理事国選出に寄せて

Bruno Kaufmann

読者の皆様

ついにこの時がやってきました。ニューヨーク・国連本部ビルの安全保障理事会議事堂に並ぶダークグレーの座席。ここにスイスを含む、新たな非常任理事国5カ国が座ります。スイスにとっては史上初めてのことです。

2023~24年の任期中、国連で3番目に若い加盟国のスイスが、いうなれば最も強大な国際意思決定機関に身を置きます。それは安保理が国連憲章第24条によるところの「国際の平和及び安全の維持に関する主要な責任」を負っているからです。

10年以上にわたり準備を進めてきたスイスの歴史的一歩は、とりわけ波乱に満ちた局面で踏み出すことになります。常任理事国のロシアが、同じ国連加盟国のウクライナに侵攻し、4カ月近くも国連憲章・国際法違反を続けています。

安保理のあらゆる決定に拒否権を持つ5つの常任理事国の1国として、プーチン大統領は第二次世界大戦の終戦以来培われてきた世界秩序に荒々しく挑んでいるのです。

新たな安保理の一員として、スイスは大きな課題に直面することになります。欧州の真ん中に位置するこの小国が、こうした困難な情勢の中で、「世界平和」にどう貢献できるか?スイスの中立はどんな可能性と限界を抱えているのか?

そして、スイス連邦憲法で定められた「人権」と「民主主義」を世界で促進するという使命を、どのようにして安保理で実現していくのか?

swissinfo.chはこれまで、こうした問題やその他の論点を中心に、スイスの非常任理事国入りを巡る数多くの記事を配信してきました。読者の皆様にも議論に参加し、10言語の読者と意見を交わしていただければ幸いです。筆者に直接ご連絡をくださっても結構です。

ブルーノ・カウフマン

swissinfo.ch直接民主制取材チーム・コーディネーター

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