スイスの視点を10言語で

民主主義ニュースレター7月号

Bruno Kaufmann

読者の皆様

ウクライナでは今も毎分のように爆弾が落ち、毎時間のようにロシアが戦争犯罪を行っています。国際法に反して主権国家である隣国を無差別に攻撃するロシアの権力者たちは、毎日のようにスイスのような自由・民主主義社会でもロシアの語り口が信じられてしまうような形で現実を捻じ曲げています。

先週初め、雷鳴響き渡る真夜中にルガーノ駅に着いた私は、タクシーで宿泊先のホテルまで向かいました。そのタクシーの運転手は、ウクライナの血塗られた戦争に責任を負うのは、この世界の民主主義国家であると固く信じていました。「自らがやるべきことを実行するプーチン氏には頭が下がる」と語ったのです。

雷雨の中で走行時間も短く、運転手ときちんと対話することはできませんでした。例えばこの「プーチン氏」がクレムリンで、そしてロシア全土で、自身と相容れない声を封じ込め、消滅させている事実ーーまさにこのタクシー運転手の一件が体現しているーーについて。または私も出席した、7月初めにスイス南部ルガーノで開かれたウクライナ復興会議で、「要人」のようにはスポットの当たらない無数の人々が戦争勃発以来初めて直接意見を交換し、ウクライナや欧州、そして世界の民主主義を強化するために計画を練ったこと。それらについて語ることは叶いませんでした。

表現の自由は、民主主義社会の核を為す根本的な条件の1つです。あらゆる相違や矛盾を乗り越え、爆弾や戦争犯罪、国家による嘘のない平和的共存を可能にする(とはいえ保証はしない)のです。

swissinfo.chは戦争開始以来、民主的再建の可能性について発信し、表現の自由を叫び、それがどのようなものであるかを問いかけ、スイスのような国でこれらの基本的な自由がどのような状況であるかを探求しています。このニュースレターを読んでくださったあなたのご意見やご感想をお待ちしています。10カ国語で行われる「意見交換」ページに投稿するか、直接私にご連絡ください。

swissinfo.ch直接民主制取材チーム・コーディネーター
ブルーノ・カウフマン

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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