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おすすめの記事 成層圏を目指すソーラー飛行機、スイスで初の試験飛行 このコンテンツが公開されたのは、 2017/05/08 3年の開発期間を経て今月5日、スイス製のソーラー飛行機「ソーラーストラトス」がパイエルヌ飛行場を飛び立った。この飛行機は、12年にソーラーボートで世界一周を達成したクリーンテクノロジーの推進者・冒険家のラファエル・ドムジャンさんが考案したもの。18年には自らの操縦で成層圏飛行を目指す。ドムジャンさんにインタビューした。 ソーラーストラトス(Solar Stratos)は2人乗りの飛行機で、翼の表面積のうちの22平方メートルにソーラーパネルが取り付けられている。ロール(左右の傾き)やスピードを徐々に上げる一連のテストの後に5日、テストパイロットのダミアン・ヒシアーさんの操縦で高度300メートルを飛ぶ初の試験飛行が行われた。 「僕もチームも全員、喜びに沸き立っている。しかし、同時に少し心配もしている。なぜなら、過去3年間にやってきたことの全てがうまく機能するかどうか今、試されるからだ」と、ドムジャンさん(44歳)は試験飛行の直前に話した 。 このスイス人冒険家は、18年の終わりには高度25キロメートルの成層圏での飛行を計画している。もしこれが成功すれば、電気エンジンを備えたソーラー飛行機の世界記録を作り上げることになる。 ハードルを跳び越えて だがその前に、ドムジャンさんはいくつかのハードルを跳び超えなくてはならない。15歳でグライダーを操縦した経験はあるが、この小型実験飛行機を操縦するためには、フライトシュミレーターを使ってたくさんのことを学ばなければならない。 ステップ・バイ・ステップではあるが、この夏にはまず中程度の高度を飛行してみるつもりだという。次いで今年の終わりには、ソーラー・インパルスの操縦士、アンドレ・ボルシュベルクさんが10年に出した「有人ソーラー飛行機での高度9235メートルの飛行」という世界記録を打ち破るつもりだ。 ソーラー・インパルスが世界一周飛行を終了したのは昨年の7月。それからわずか10カ月後に、もう一つの超小型のソーラー飛行機がスイスの、しかも同じフランス語圏で誕生しようとしている。 ソーラー・インパルスに影響を受け スイスは日本の九州ほどの大きさの小さな国。 ソーラー・インパルスのもう一人の操縦士でヴォー州ローザンヌに住むベルトラン・ピカールさんと、隣州ヌーシャテルに住むドムジャンさんは、当然ながら友人だ。だから、この17年末の記録更新の旅には、二つある操縦席の一つにピカールさんを招待するつもりだ。 ピカールさんの家は、 代々知られた裕福な冒険家・発明家の家系だ。一方ドムジャンさんの家はどちらかといえば「平凡」で、両親はソーシャルワーカーだった。こんなドムジャンさんにとって、ピカールさんからの影響は多大だった。「ソーラー・インパルスが誕生するまでは、太陽光発電で何かの企画や冒険をすることは考えてもいなかった。03年にベルトランがソーラー飛行機での世界一周計画を打ち出したとき、その情熱が僕に伝染したのだ」 方向転換 ドムジャンさんほど、極端に人生の方向転換をした人はあまりいないかもしれない。今はクリーンテクノロジーの推進者・冒険家だが、以前は技術系の仕事や医療補助員、山のガイドなどをしていた。 前述のように03年のソーラー・インパルス計画発表が転換のきっかけとなったドムジャンさんは、同じ年に、両親の家の屋根にソーラーパネルを取り付け、次いでウェブ上でソーラーパネル設置を支援する会社を設立。その後、12年にソーラーパネルを取り付けたカタマランの船「トゥラノール・プラネットソーラー」で世界一周の旅を達成した。 このように、ソーラー・インパルスはドムジャンさんの人生を変える契機になったが、自分のソーラー飛行機を作る際にも多くの教訓を与えてくれている。「ソーラーストラトスの製作では、大きさが問題の要になると思った。機体が大きいとその製作やメンテナンスに多くのスタッフが必要で、そのスタッフの経費がかさむからだ」。実際のところ、ソーラー・インパルス計画が 約1億7200万フラン(約194億円)だったのに対し、ソーラーストラトスは1千万フラン(約11億円)に過ぎない。 また、ソーラー・インパルス2の機体の長さが22メートルで翼幅が72メートルなのに対し、ソーラーストラトスは機体8.5メートル、翼幅24.8メートルと半分以下。重さに至っては、前者が2300キログラムなのに対して後者はわずか350キログラムだ。 さらに軽量化 このように軽量で小型のソーラーストラトスだが、まだまだ改良すべき点が残っている。例えば、毎時20キロワットのリチウムイオン電池だ。これは、ほぼ50馬力に相当する二つの19キロワットのエンジン(小型のモーターバイク程度)の電源になる。 だが、このオーストリアのKleisel Electric社によって開発された電池が、成層圏の氷点下70度の凍りつくような寒さの中でどう機能するかは、まだはっきりとしていない。 「電池は大きな挑戦になる」とドムジャンさんも認める。「今年末の記録更新飛行のための電池は、正直なところまだ完成していない。一番軽くて、しかも効率の良い電池を入手することは大きな挑戦になる。また、高度飛行のためのプロペラも新しく製作しなくてはならない」 確かに、2人のパイロットの体重も含め「軽量化」が一番の課題だ。「飛行前に、僕がたとえ10キロ痩せたとしても問題は残る」とドムジャンさんは笑う。 限界に挑戦 軽量化は、ソーラーパネルでも重視された。ソーラーストラトスのパネルは、Sunpower社の製作で、ソーラー・インパルスにもトゥラノール・プラネットソーラーにも使用されたものだ。 このソーラーストラトスのわずか20キログラムのソーラーパネルは、ヌーシャテルにあるCSEM電子工学・マイクロテクノロジー研究センターでさらに改良された。 「飛行機を軽くするため、ソーラーパネルも軽くする必要があった。そして1平方メートルあたり1キログラムになるまで減量できた。現在市場に出ているソーラーパネルより10倍も軽くなった」とドムジャンさんは言う。 電池やソーラーパネルの軽量化を推し進めた後、機体そのものの軽量化はこれ以上望めないと考えたドムジャンさんは、 飛行中に太陽光電力を使う超軽量の「宇宙服」を身に着けることにした。これももう一つの「世界新記録」になることだろう。 この宇宙服は、ロシアのZvezda社の製作だ。同社は、世界初の有人宇宙飛行士、ユーリイ・ガガーリンや世界で初めて宇宙遊泳を行なったアレクセイ・レオーノフの宇宙服を作っている。 だが、こうした宇宙服を身に着けて狭いコックピットの中で飛行機の操縦を続けるには、特別な訓練が必要になるだろうとドムジャンさんは付け加える。 こうした記録的なチャレンジに挑みながらも、冷静さを失わないこの控えめな冒険家は、こう結んだ。「解決すべき問題にステップ・バイ・ステップで挑んでいるので、あまり心配はしていない。チームにも恵まれているし、もちろん細心の注意も払ってもいる。ソーラーストラトスにはパラシュートを備えてないので、(バックアップとしての)プランBは存在しない。それに、もしリスクがなければ、それは冒険ではない」成層圏でのソーラー飛行 ソーラーストラトスのチームは、成層圏に行って帰ってくる時間を5.5時間と見ている。成層圏に到達するのに2.5時間かかり、15分間そこに留まって太陽光や星の光などを眺めた後、3時間かけて地球に戻ってくる。 ドムジャンさんの広範囲に渡る目的の一つであるソーラー飛行は、「今日、ソーラー発電で驚くようなことが可能になる」を実証することにある。 もし今回のソーラー飛行が成功すれば、次はZero2Infinity社やWorld View社のような会社と提携し、より大きな機体の商用機の開発を考えているとドムジャンさんは話している。 もう一つの計画は、サテライトに取って代わる、ないしはサテライトをサポートするために成層圏用のソーラードローンを開発することだ。こうしたドローンは現在、フェイスブック社やグーグル社 によっても開発されている。 もっと読む 成層圏を目指すソーラー飛行機、スイスで初の試験飛行
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