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対米外交、反撃ミサイル、ハイジ… スイスのメディアが報じた日本のニュース

国旗に向かって敬礼する日独防衛相
Keystone/SWI swissinfo.ch

スイスの主要報道機関が3月25日~31日に伝えた日本関連のニュースから、①トランプに接近する日本、怒らせる欧州②「中国本土に到達する」長射程ミサイル配備③子ども時代の心象を体現したハイジ、の3件を要約して紹介します。

春になると、日本の桜の開花状況がスイスメディアでも報じられるようになりました。朝令暮改の大統領や先の見えない紛争・エネルギー不安から目を逸らしたくなる今、毎年変わらずに咲いてくれる桜はスイス人の心にも癒しを与えてくれるのかもしれません。

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トランプに接近する日本、怒らせる欧州

米国がかなり一方的に開始したイラン戦争をめぐり、日本や欧州諸国は対応に苦慮しています。スイス・ドイツ語圏の大手紙NZZは、日本と欧州のドナルド・トランプ米大統領に対する態度の違いに注目し、その背景を分析しました。筆者はドイツ出身の外交・地政学専門記者、ウルリッヒ・シュペック記者です。

記事は、米欧双方の態度について、「この危機において、いずれも賢明な同盟関係の構築に真剣に取り組む姿勢を全く見せなかった」と批判的です。アメリカは情報漏洩のリスクを鑑みて、イラク攻撃を欧州連合(EU)に 事前に知らせず、その後も欧州を巻き込むことに消極的です。欧州側も「苛立たしいほど無頓着」に米・イスラエルを非難していると言います。

一方、日本の高市早苗首相は19日の日米首脳会談で「トランプ氏と抱擁を交わし、称賛を惜しまなかった」。記事はこの対応について、文化的な慣習の違いではなく、「日本の地理的位置関係と安全保障上の利益」に基づくものだと分析します。「高市・トランプ両氏の笑顔や抱擁は、『日本と米国を分断するような分断統治政策は通用しない』と中国へメッセージを送るための政治的パフォーマンスだ」

記事は「トランプ氏の信頼性に欠ける評判を考えると、こうした緊密さをあからさまに示すことはなおさら重要だ」と続けます。近く予定される米中会談を前に、「このメッセージを中国に伝えるため、日本はあらゆる苦渋の決断を受け入れる覚悟があった」。ほかの利益を脇に置き、困惑させる米大統領のご機嫌を取ることが日本にとって「自国の安全保障への賢明な投資と言える」と評価しました。

記事は欧州諸国も一枚岩ではなく、スペインのように米国を声高に批判する国もあれば、フィンランドやポーランド、バルト三国などはより米国に融和的だと指摘します。その違いをもたらすものの1つは「ロシアへの脅威」であり、ロシアとの交戦に巻き込まれる危険が高い国ほど、日本のように同盟重視の姿勢を採る、と分析しました。

また日本が対米同盟への依存度が高いのに対し、欧州は北大西洋条約機構(NATO)やEUという多国間安全保障体制が構築されているという違いも指摘します。こうした枠組みが危機に対する安全弁となっており、「時として、対米関係において油断につながることもある」。

しかし日本も欧州も、中国・ロシアという脅威に接し、アメリカの軍事力に依存している点で根本的な差はありません。記事は米国との同盟関係維持が極めて重要であるとしたうえで、「過度な依存から脱却し、自ら招いた未熟さを少なくとも部分的に克服するには、自らの力でしか道は開けない」と総括しました。(出典:NZZ外部リンク/ドイツ語)

「中国本土に到達する」長射程ミサイル配備開始

陸上自衛隊は31日、敵基地攻撃能力(反撃能力)を持つ長射程ミサイルの配備を始めました。スイス・ドイツ語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガーは「中国本土に到達する初のミサイル」との見出しで報じています。

記事は防衛省の発表として、ミサイルの射程が1000㎞で中国本土に到達可能であると紹介。ただミサイル配備は「地域の緊張を高め、潜在的な敵対国による攻撃のリスクを増大させる」ことから、近隣住民から批判の声が上がっていると伝えています。また「日本が平和憲法の下で追求してきた自衛政策からの逸脱を意味する」とも位置付けました。

(出典:ターゲス・アンツァイガー外部リンク/ドイツ語)

子ども時代の心象を体現したハイジ

「アルプスの少女は、日本においても、子どもの心のイメージを体現している」――NZZ日曜版は「私たちはどのようにツーリストになったか」と題する書評特集のなかで、スイス人作家ヨハンナ・シュピーリの名作「ハイジ」を取り上げました。多くの挿絵家によって繰り返し刊行されている原作だけでなく、1974年に日本で放映された「アルプスの少女ハイジ」を「自然とともに生きる愛らしいハイジのイメージを最も深く形作り、その世界的な成功に大きく貢献した作品と言える」と紹介しています。

ハイジの物語は少なくとも50カ国語以上に翻訳され、映画やテレビドラマ、絵本、おもちゃなど「さまざまな媒体で物語が再解釈され、それぞれの文化や歴史的背景に合わせて翻案されてきた」。その中でも日本版ハイジは「ハイジというキャラクターが国境を超えて広く知られるようになるうえで、極めて重要な役割を果たしてきた」と評します。

その成功要因について記事は、「作品の高い芸術性と、日本の視聴者に合わせたキャラクターの巧みな翻案を天才的に結合させたこと」を指摘します。制作陣はスイスなどで現地調査を綿密に行い、山岳風景を可能な限り忠実に再現することに尽力しました。「産業、消費主義、都市化が進む1970年代の日本において、手つかずの自然への憧れは、原作にある宗教的な要素を省略したことで、まさに理想的な形で表現された」

そして日本版ハイジが「子ども時代の心象」として人気を集めたことこそ、ハイジが国境と時代を超えて愛されている秘密だと記事は解説します。記事によると、ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)と独テレビ局のRTLはティーンエイジャーになったハイジを描くドラマ外部リンクを共同制作しています。また2027年夏にはチューリヒ中央図書館でヨハンナ・シュピーリ展が予定され、本記事筆者のアンナ・レーニンガーさんが共同キュレーターを務めています。(出典:NZZ外部リンク/ドイツ語)

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日本でも人気のシューズメーカー「On(オン)」。ベトナムやインドネシアの工場で製造されている同社の靴にスイス国旗マークをあしらうことが合法かどうか、ここ1年ほど大きな議論になっていました。スイスでは製造コストの60%がスイス国内で発生した製品でない限り「スイス製」を示すスイス国旗マークをつけることは禁じられているからです。

NZZによると、当局が出した結論は「合法」。製品のデザインや開発がスイス国内で行われていることを理由に、一定の条件のもとで国旗マークをつけてよいとの判断を下しました。

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