連邦閣僚選出後、議会で宣誓するマルティン・フィスター氏
Keystone / Anthony Anex
スイス連邦議会は12日、今月末で辞任するヴィオラ・アムヘルト国防相の後任として、ドイツ語圏ツーク州出身のマルティン・フィスター氏(中央党、61歳)を選出した。
このコンテンツが公開されたのは、
おすすめの記事
おすすめの記事
「スイスのメディアが報じた日本のニュース」ニュースレター登録
スイスの主要メディアが報じた日本関連ニュースの要約をメールでお届けします。日本の国内報道からは得られにくい、国際的な視点も含んでいます。登録無料。
もっと読む 「スイスのメディアが報じた日本のニュース」ニュースレター登録
元スイス軍大佐で歴史家のフィスター氏は現在、ツーク州保健相を務め、連邦議会での知名度は低い。だが国防省・スイス軍トップの辞任が相次ぐなか、国防に関する知識が買われたとみられる。
決選投票で246票中134票を獲得。対立候補で農業系族議員のマルクス・リッター上院議員(ザンクト・ガレン州出身、57歳)の110票を上回り当選した。非現役連邦議員が連邦閣僚に選出されるのは、2007年のエヴリン・ヴィドマー・シュルンプフ氏以来。
女性閣僚は2人に
7つの閣僚ポストは14日に閣僚内で割り振るが、フィスター氏はアムヘルト氏が担っていた国防・国民保護・スポーツ省担当閣僚の座を引き継ぐとみられる。
スイスでは7人の閣僚ポストは政党(主要4政党)や言語圏(ドイツ語圏から4人、フランス語圏から3人)のバランスを保つように選出する。フィスター氏の当選によりこの「マジック・フォーミュラー(魔法の法則)」は保たれたが、女性閣僚は3人から2人に減ることになる。
アムヘルト国防相の所属する中央党は、後任候補に男性しか推薦しなかった。11日のフィスター、リッター両候補の出馬演説を受け、社会民主党(SP/PS)と緑の党(GPS/Les Verts)は連邦閣僚の女性比率が下がることに落胆の意を表明した。スイス最大の助成団体「F同盟」も10日に同様に批判していた。
閣僚出身地の地域的なバランスは向上した。2003年のカスパー・フィリガー氏(ルツェルン州)の退任後、中央スイス出身の閣僚は不在だった。ツーク州出身者が閣僚に就くのは、キリスト教民主党(現中央党)のハンス・ヒュルリマン(1974~81年任)以来だ。
ウーリ、シュヴィーツ、ニトヴァルデン、シャフハウゼンの4州はいまだ連邦閣僚輩出歴がない。
おすすめの記事
おすすめの記事
スイスの政治
スイスの連邦閣僚はどうやって選ぶ?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦議会は5日、年末で辞任する2人の連邦閣僚の後任を選ぶ。スイスの連邦閣僚7人はある暗黙のルールに沿って選ばれる。それは単なる権力闘争ではなく、スイスの国の成り立ちと民主主義の理想を象徴するものだ。(Michele Andina/swissinfo.ch)
もっと読む スイスの連邦閣僚はどうやって選ぶ?
政治への信頼醸成
フィスター氏は閣僚選出後の演説で、連邦閣僚の中核的役割は政治に対する人々の信頼を醸成することだと強調した。
「選挙期間中何度も、『あなたは連邦議事堂より兵舎に詳しい人だ』と言われた」。しかし今後は連邦閣僚の一員として、他の閣僚と等しく任務を果たすことの重要さを強調した。
地政学的な変動を念頭に、「信頼や協力、安定というスイスにとって根本的な原則が今、揺らいでいる」と述べ、あらゆるレベルで協調が必要だと熱弁した。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
おすすめの記事
スイス、ロシア・ウクライナ首脳会談の「準備は万全」
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府のイグナツィオ・カシス外相は19日、ウクライナ情勢を巡る和平交渉について、スイスはロシアとウクライナの首脳会談を開催する「準備は万全」と述べた。
もっと読む スイス、ロシア・ウクライナ首脳会談の「準備は万全」
おすすめの記事
職場
スウォッチ、「つり目」広告を撤回 人種差別と炎上
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの時計大手スウォッチはつり目ポーズのモデルを使った広告を謝罪し、撤回した。中国を中心に人種差別的だとの批判が出ていた。
もっと読む スウォッチ、「つり目」広告を撤回 人種差別と炎上
おすすめの記事
世界貿易
トランプ氏、スイス大統領に金銭支払いを要求 関税発表前日の電話会談の詳細が明らかに
このコンテンツが公開されたのは、
スイスに対し39%の関税を発表する前日の7月31日、ドナルド・トランプ大統領がカリン・ケラー・ズッター大統領との電話会談で、米国への「投資」ではなく直接的な金銭支払いを要求していたことが分かった。大衆紙ブリック日曜版が報じた。
もっと読む トランプ氏、スイス大統領に金銭支払いを要求 関税発表前日の電話会談の詳細が明らかに
おすすめの記事
文化
ロカルノ映画祭、三宅唱監督「旅と日々」に金豹賞
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部で開催されたロカルノ国際映画祭で、三宅唱監督の「旅と日々」が最高賞にあたる金豹賞を受賞した。
もっと読む ロカルノ映画祭、三宅唱監督「旅と日々」に金豹賞
おすすめの記事
宇宙研究
国際宇宙ステーションでロボットが「宝探し」に成功 スイスも貢献
このコンテンツが公開されたのは、
日本製とドイツ製のロボットが、国際宇宙ステーション(ISS)で「宝探し」をして遊んだ。スイス・ルツェルン応用科学芸術大学(HSLU)もこの実験に貢献した。
もっと読む 国際宇宙ステーションでロボットが「宝探し」に成功 スイスも貢献
おすすめの記事
スイス中銀、新紙幣デザイン12案発表 一般投票募る
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中銀、SNB)が、新フラン札のデザイン案12点を発表した。来月7日まで、インターネット上で一般投票が行われる。
もっと読む スイス中銀、新紙幣デザイン12案発表 一般投票募る
おすすめの記事
気候適応
ジュネーブ州、バス・路面電車を13日のみ無料に オゾン濃度が急増
このコンテンツが公開されたのは、
ジュネーブ州では13日、バスやトラム(路面電車)など公共交通機関が終日無料となった。オゾン濃度が急増したことへの対応で、スイスでは初めての措置だ。
もっと読む ジュネーブ州、バス・路面電車を13日のみ無料に オゾン濃度が急増
おすすめの記事
スイスで記録的暑さ 政府が警告
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで全国的に気温が上昇し、猛暑への警戒が強まっている。11日にはスイス西部と南部ティチーノ州の一部地域に対し、熱中症など健康被害を受けるリスクが大きい「危険度3」の警報が発令された。
もっと読む スイスで記録的暑さ 政府が警告
おすすめの記事
文化
知日スイス人作家のアドルフ・ムシュクさん、欧州政治文化賞を受賞
このコンテンツが公開されたのは、
ハンス・リンギエ財団は9日チューリヒ在住の作家アドルフ・ムシュグさん(91)に欧州政治文化賞と賞金5万ユーロ(約860万円)を授与した。同賞がスイス人に授与されるのは初めて。
もっと読む 知日スイス人作家のアドルフ・ムシュクさん、欧州政治文化賞を受賞
おすすめの記事
貿易政策
スイス政府、相互関税で米国との協議継続を表明
このコンテンツが公開されたのは、
米国がスイスに課す39%の「相互関税」をめぐり、スイス政府は4日、米国との協議を続け「より魅力的な提案をする」と表明した。
もっと読む スイス政府、相互関税で米国との協議継続を表明
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。