The Swiss voice in the world since 1935
トップ・ストーリー
スイスの民主主義
ニュースレターへの登録

スイスの戦闘機購入計画 グリペンEが脱落、F35Aなど4機へ

テスト飛行
6月7日、スイスのパイエルヌ基地で行われたFA-35Aのテスト飛行。スイス連邦政府は老朽化した戦闘機の刷新のため、総額60億フランの戦闘機購入計画を立ち上げた。現在、候補機の選定を進めている © Keystone / Peter Klaunzer

スイス連邦政府が進める戦闘機購入計画で、スウェーデン・サーブ社のJAS39グリペンEが、スイス空軍基地で今月末に予定している候補機のテスト飛行に参加しないことになった。グリペンEは候補機レースから脱落、F35Aを含む4機に絞られた。

サーブ社は13日、テスト飛行への不参加を発表。声明外部リンクによると、テスト飛行は2019年時点で運用準備が整った機体に限られ、開発途中のグリペンEはこの条件を満たさないため、連邦国防省装備局(armasuisse)が同社にテスト飛行へ参加しないよう勧告した。テスト飛行は今月24~28日を予定している。

同社の最新鋭機グリペンEは現在、スウェーデン、ブラジルで製造・テスト中。スイス軍による新戦闘機候補の募集に対し、今年1月25日、グリペンEを申請していた。

同社は「テスト飛行の対象は2019年時点で運用準備が整った航空機とするというスイスの計画と、グリペンEの開発計画が合致しない」と述べた。ただ「スイス政府が配備を予定する時期には運用を開始し、必要とされる機能もすべて搭載している」と強調した。

連邦国防省装備局は同日、声明外部リンクを出し、テスト飛行の延期は他の候補機との公平性を保てないとして認めなかった。

スイス連邦政府は老朽化した戦闘機の入れ替えのため、計60億フラン(約6600億円)の戦闘機購入計画を進めており、空軍基地で候補機のテスト飛行を実施していた。残る4機はF35A、ラファール、F/A-18E/Fスーパーホーネット、ユーロファイタータイフーン。

>>スイス、どの戦闘機を買う?

候補機は2020年中に評価を終え、政府が最終決定を行う。新しい戦闘機の導入は2025年までに完了する見通し。戦闘機購入計画は任意のレファレンダムの対象で、今後国民投票にかけられる。

>>国民投票にかけられる戦闘機購入計画とは?

おすすめの記事
投票箱

おすすめの記事

レファレンダムとは?

このコンテンツが公開されたのは、 スイスでは国民が憲法改正案を提案したり、連邦議会で承認された法律を国民投票で否決したりできる。

もっと読む レファレンダムとは?

新しい戦闘機購入計画は国内で物議を醸している。 スイス連邦政府は過去にもグリペン戦闘機22機を総額31億フランで購入する計画を立ち上げたが、2014年の国民投票で53%の反対により否決された。

おすすめの記事
戦闘機

おすすめの記事

5種類の戦闘機、スイスはどれを買う?

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦内閣が80億フラン(約9200億円)をかけて新しい戦闘機と迎撃ミサイルを購入する計画を進めている。

もっと読む 5種類の戦闘機、スイスはどれを買う?

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

詐欺を警告するPC画面

おすすめの記事

スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決

このコンテンツが公開されたのは、 スイス銀行を狙った口座乗っ取り事件で、英国で刑事告訴されていた英国人学生(21)に禁固7年の有罪判決が言い渡された。スイス連邦検察庁によると、学生はスイスの銀行顧客から約240万フラン(約4億4000万円)を騙し取った。

もっと読む スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
オリーブの木

おすすめの記事

温暖化でスイスがオリーブの名産地に?

このコンテンツが公開されたのは、 スイス西部のフランス語圏は温暖化によりオリーブの木を育てやすくなっている。生産者らは2026年には栽培本数が2万本に倍増し、南部のイタリア語圏ティチーノ州を追い抜くと見込む。

もっと読む 温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
山肌に描かれた巨大な絵

おすすめの記事

アルプスに新しい巨大地上絵が登場

このコンテンツが公開されたのは、 世界各地で巨大な地上絵を描くアーティストのSAYPE(セイプ)さんが、スイス南部ヴォー州のアルプス山頂に新作を完成させた。

もっと読む アルプスに新しい巨大地上絵が登場
原発

おすすめの記事

スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず

このコンテンツが公開されたのは、 スイス北部デニケン(ソロトゥルン州)のゲスゲン原子力発電所が2カ月近く、発電を停止している。給水配管システムに過負荷がかかっている可能性があり、安全性が証明されるまで発電を再開できていない。

もっと読む スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず
セメンヤ

おすすめの記事

欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」

このコンテンツが公開されたのは、 欧州人権裁判所(ECHR)大法廷は10日、スイスが女子陸上五輪金メダリストのキャスター・セメンヤさん(南アフリカ)の権利を侵害したとする2023年の判決を支持した。

もっと読む 欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
スイス公共放送協会

おすすめの記事

スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も

このコンテンツが公開されたのは、 スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。

もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
財布

おすすめの記事

スイスでは現金のチップが主流

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。

もっと読む スイスでは現金のチップが主流

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部