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「多くの国民は移民課題の対応自体は望んでいる」 スイス識者分析 

ベアト・ヤンス司法相とギー・パルムラン連邦大統領
ベアト・ヤンス司法相(左)とギー・パルムラン連邦大統領。政府は人口制限イニシアチブに反対していた Keystone / Anthony Anex

スイスの有権者は14日、保守右派・国民党(SVP/UDC)の人口1000万人上限イニシアチブを55%の反対多数で否決した。しかし、スイスの専門家は、国民は移民を巡る課題への対応自体は望んでいる、と指摘する。

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スイスインフォは投票結果を受け、調査機関gfs.bernの政治アナリスト、ウルス・ビエリ氏にインタビューした。

スイスインフォ:有権者は「人口1000万人のスイスに反対」というイニシアチブ(国民発議)を55%の多数で否決しました。その要因をどうみますか?

ウルス・ビエリ:スイスでは、移民が引き起こす問題について長年議論を重ねてきました。有権者の目には、これらの問題は確かに存在しています。しかし最終的には、イニシアチブそのもの、特にイニシアチブが持つ欠点が投票結果を左右しました。

有権者の過半数が(外国人労働者が支える)介護・医療分野の人材不足を懸念していました。欧州連合(EU)との関係悪化や、さらには年金制度の財政不安にも懸念を抱いていました。これらの要因が重なり、明確な否決につながりました。
 
これは近年で最も重要な国民投票の一つでした。この投票から得られる重要な教訓は何でしょうか?

ウルス・ビエリ氏。調査機関gfs.bern研究所の政治アナリスト
ウルス・ビエリ氏。調査機関gfs.bern研究所の政治アナリスト swissinfo.ch

2つあります。1つ目は、EUとの第3次二国間協定に関係します。国民はEUとの関係を根本から問い直すことを望んでいません。2つ目は、スイス国民が人の自由移動と移民をめぐる課題を認識していることです。賛成票が45%と高かったのは、政治が今、移民の影響に対する解決策を模索しなければならないことを示しています。

投票率は58%異例の高さでした。国民党は支持者層を超えて有権者を動員することに成功しました。どのような層に働きかけたのでしょうか?

国民党はもはや「外国人による侵食(外国人の流入)」ではなく、電車の混雑や高騰する住宅家賃について語り始めました。これは新しい切り口です。国民党はこうして新たな層を説得し、投票所に足を運ばせました。都市部で住宅探しに苦労したり、朝の通勤電車の混雑を日常的に感じたりしている人たちです。こうした人々は必ずしも保守右派ではありません。政治に無関心な人もいるかもしれません。中道、あるいは左派寄りの人もいるかもしれません。

同時に、都市部における左派政党や労働組合の動員が否決に寄与しました。

はい、しかしスイス全土でも平均を上回る投票率が見込まれます。全国で約59%、女性参政権導入以来の投票率トップ10に入ると予想されます。都市部でも同様です。ちなみに、都市部における反対票は、住宅事情への賛否というよりも、むしろ開かれたスイス、欧州との強固な関係、そして人口上限に縛られることなく解決策を模索するという移民問題の議論への支持を意味するものでした。 
 
都市部と農村部の明確な分断、そしていわゆる「Röstigraben」(地域言語間の分断)が再び顕著になりました。なぜでしょうか?

こうした分断は、欧州問題や移民問題が持ち上がるたびに再び表面化します。14日も、都市部と農村部で賛否に20パーセントポイントの差が見られました。これは明らかな差です。スイスがこれらの問題に関して依然として分断していることを示しています。

ブドウ畑に掲げられた「人口1000万人のスイスに反対」のポスター
ブドウ畑に掲げられた「人口1000万人のスイスに反対」のポスター Keystone / Jean-Christophe Bott

こうした分断は拡大しているのでしょうか?

はい。移民問題は、長らく国民投票のテーマになっており、明確な左派・右派対立に深く根ざしています。しかし、都市部では左派寄りの傾向が強まっています。その結果、両者の溝はさらに広がっています。

スイスは過去に何度も移民問題について投票を行ってきました。何か傾向はありますか?

大きな変化がありました。かつては外国人流入が議論の中心でしたが、今日では人口過密が主な争点となっています。スイスはもはや国外からの移民について語るのではなく、人口増加によって引き起こされる問題について議論しています。これにより、議論はより現実的なものとなり、もはや外国人嫌悪や移民問題に偏ったものではなくなりました。そのため、移民に対して肯定的な考えを持ちながらも、人口増加の負の側面を感じている人々にとっても、より関心を惹くものとなっています。

連邦内閣(政府)は、EUとの二国間関係におけるリスクについて警告していました。この主張は投票結果にどれだけ影響したのでしょうか?

この主張も含め、すべての主張が影響を与えました。国民は、スイスの欧州懐疑的な決定によってEUとの関係が悪化しかねない、と認識しています。今回は、例えば2014年の大量移民反対イニシアチブの時よりも、この点がより重視された可能性が高いです。

今回の投票結果は、2027年の総選挙を前に、国民党の勢力を弱めるのか、それとも強化するのでしょうか?

どちらに転ぶかは分かりません。この問題に関して、多数派がどのように分布しているかが分かりました。国民党側ではありません。しかし、国民党は本来の支持層を超える支持を集めており、これは確かに立派な成果と言えるでしょう。そして、この問題は消え去ることはありません。政治家が何も行動を起こさなければ、来年、国民党にとって大きな追い風となる可能性があります。そうなれば、国民党は少なくとも解決策を提示した唯一の政党となるでしょう。

移民問題は来年の選挙戦における主要な争点となるでしょうか?

移民問題はスイスにおいて常に上位4つの重要課題に入っています。今日の投票結果は、国民はこの問題を問題視していない、と解釈すべきではありません。この問題は今後も続き、議論が必要となるでしょう。

14日の投票の明確な勝者は?

議会と連邦内閣です。彼らは2つの提案(人口制限案反対と社会奉仕法改正案)に対する支持を確保しました。彼らが最後に敗北したのは2024年末です。現在、内閣と議会にとって追い風となっています。

編集:Mark Livingston、独語からの翻訳:宇田薫、校正:大野瑠衣子 

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