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老朽化進むスイスのシェルター 政府が改修にテコ入れ 

スイスでは、有事に備えシェルターが維持管理されている
スイスでは、有事に備えシェルターが維持管理されている Afp Or Licensors

スイスには約37万カ所のシェルターがあり(うち約5000カ所は公共)、計900万人以上を収容できる。多くはワインセラーやパーティールームとして使われているが、有事には依然として国民保護の役割を果たすことが求められる。

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スイスは、人口比でのシェルター普及率が世界でも極めて高い。数字上は、ほぼすべての住民に対して避難場所が確保されている。

ただし、設備の老朽化や兵器システムの近代化が進み、シェルターは昨今の脅威に十分に対応できなくなっている。

そのため連邦内閣(政府)は2025年10月、「世界の安全保障情勢の変化を踏まえ」、築40年以上の公共シェルターを近代化するため大規模な投資を行うことを決めた。

スイスのシェルターは冷戦時代の遺産

中立国スイスになぜこれほど多くのシェルターが存在するのか。それは冷戦時にさかのぼる。東西間の緊張がピークに達し、核戦争の脅威が絶えずつきまとった当時、スイスは国内の全住民のためにシェルター建設を義務付ける連邦法を制定した。

1963年10月4日に成立した「民間防衛施設に関する連邦法」では、建物を新築する際にはシェルターを設置しなければならないと定める。設置を希望しない場合、公共シェルターの建設・維持管理を賄うための代替負担金を支払わなければならない。

公共シェルターのために、地下駐車場や高速道路トンネルなどスイスの多くの地下施設は気密状態を維持できるよう設計され、重厚なスライド式の装甲扉が設置されている。こうした施設は、数千人の住民を収容可能だ。

さらに同法は、民間・公共を問わず、住民はこれらのシェルターに徒歩で迅速に到着できなければならないと定める。具体的には、平地ならば30分以内、山岳地域では60分以内だ。

連邦州あるいは地方自治体は、住民をどの避難所に収容するか避難計画を策定し、それを定期的に更新することが義務付けられている。計画は、安全保障情勢に鑑み、必要に応じて公表される。

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このコンテンツが公開されたのは、 冷戦以来、スイスは核シェルターの建設と設置において世界で確固たる名声を築いてきた。だが国内では老朽化や未使用状態に悩むシェルターも多く、新しいシェルターの在り方が課題となっている。

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防災・防衛対策のもう1つの柱は、安全対策が施された病院や地下の医療拠点だ。

これらは通常の医療施設に組み込まれ、人口の少なくとも0.6%を収容できる能力を備えている必要がある。建設費は連邦政府と州政府が共同で負担しているが、設備が老朽化しており、多くの拠点は現在、運用を停止しているか、訓練目的でのみ使用されている。

老人ホームの地下階に設けられたシェルター
老人ホームの地下階に設けられたシェルター Afp Or Licensors

問われるシステム

冷戦終結を経て、シェルター制度は次第に疑問視されるようになっていった。2010年にはシェルター設置義務の撤廃が検討された。

その後、2012年に規則が一部改正され、既に十分な数のシェルターがある地域では、新築建物にシェルターを設置する義務が撤廃された。なお、住民1人あたりのシェルター設置割合は地域によって大きく異なる。例えばベルン州の人口カバー率は107%だが、ジュネーブ州は76%だ。

シェルターの設置を希望しない場合に個人が支払う代替負担金額も、引き続き批判されている。特に政府が2025年、避難所が不足している地域を対象に、未設置の収容枠1人分につき負担金を1400フラン(約28万円)へと引き上げることを決定して以来、批判の声が高まっている。

これについて連邦民間防衛局(BABS)は、シェルターに関する冊子外部リンクで次のように説明する。「平時において戦争を想定した支出はあまり好まれない。しかし、安全保障情勢が将来的に悪化する可能性は常に想定しなければならず、またスイス国内で武力紛争が発生する可能性は排除できない」

仏語圏のスイス公共放送(RTS)によれば、各州が積み立てているこの代替負担金は現在、総額約8800万フラン(約176億円)に上る。これは築40年以上が経過した公共シェルターの改修に充てられることになっている。

パーティールームとして使われるシェルター

ほとんどのシェルターは、直ちに使用できる状態にない。大半は倉庫として使われていたり、もともと地下駐車場として設計されていたりするためだ。所有者がワインセラーやパーティールームとして利用しているケースもある。

核シェルター建設・改修会社のディレクター、クリスティアン・シニガリア氏は、ベルギーのフランス語圏公共放送局(RTBF)に対し、「シェルターでは、ありとあらゆる活動が行われている」と語った。シェルターに陶芸用の窯が設置されていたケースもあったという。

スイス連邦民間防衛局は、緊急時にシェルターとして機能するよう、所有者は設備の維持管理に努める必要があると強調している。

その一方、平時においては「シェルターの外殻(床 / 壁 / 天井)、装甲扉ならびにシャッター、換気システムに変更を加えないという条件で」、他の用途で設備を利用することが認められている。

シェルターの建築・改修に関する規則は依然として非常に厳格で、必要な時に迅速に適用できるよう、原則として少なくとも10年ごとに見直される。

ヴォー州の市民防衛隊長ルイ・アンリ・ドララジャ氏はスイス公共放送(RTS)に対し、「これらの避難所は武力紛争に備えて設置されているため、使用には連邦内閣の決定が必要になる」と語る。

「その決定は連邦民間防衛局からの通達という形で伝達され、我々は避難所を使用可能な状態に準備するよう指示を受ける。つまり避難所の内部を片づけ、ベッドを設置するなどして受け入れ態勢を整える。指示の発出から、5日以内に準備を完了させなければならない」

RTSでも、有事に報道機関としての機能を維持できるよう、駐車場からアクセスできる地下スタジオを保有している。

快適とは程遠い

地下シェルターは、核放射線や化学兵器による攻撃だけでなく、地上部分の建物の倒壊にも持ちこたえられなければならない。

一般的に、シェルターには換気およびガスフィルターシステムが組み込まれており、最大14日間、酸素の自家供給が可能となるよう設計されている。14日という期間は、核爆発後の大気中の放射能量の減衰曲線に基づき算出された。

もっとも、緊急時の生活環境は快適とは程遠い。法律が規定する1人あたりの居住スペースはわずか1㎡だ。食料や飲料水の供給も十分に確保されていなければならない。

独語からの翻訳:鈴木ファストアーベント理恵、校正:宇田薫

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