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原発反対の島、女性市長の産休、抹茶ブーム… スイスのメディアが報じた日本のニュース

抹茶はスイスでも人気だ
抹茶はスイスでも人気だ keystone

スイスの主要報道機関が6月29日~7月6日に伝えた日本関連のニュースから、①「原発反対」の島②女性市長の産休・育休③抹茶ブーム、の3件を要約して紹介します。

皆さんこんにちは。今週は、日本の現職女性首長が産休を取ることがニュースになったと、スイスで「驚き」を持って報じられました。とはいえスイスも女性の産休(出産後14週間)が義務化されたのが2005年、男性の育休(2週間)が正式に導入されたのも2021年と、家族の権利に関してはかなり後進国です。

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40年以上続く祝島の反原発運動

フランス語圏の日刊紙ル・タンは、山口県上関町沖の祝島(いわいしま)で40年以上続く原子力発電所建設反対運動を現地からレポートしました。人口約200人、住民のほとんどが高齢者という小さな島ですが、住民は1982年に原発計画が持ち上がって以来、一貫して中国電力による上関原発建設に反対し続けています。記事は、島からわずか約4km先に建設予定地が見えることを紹介し、「私たちの暮らしと自然を守るためだ」という住民の切実な声を伝えています。

記事では、2011年の福島第一原発事故が住民の決意をさらに強めた転機だったと説明します。かつて東京近郊で働いていた島出身の町議は、「福島以降、原発事故の危険は現実のものになった。もう『知らなかった』とは言えない」と語り、事故を機に故郷へ戻って反対運動に加わった経緯が紹介されています。

ル・タンは、福島原発事故で凍結された計画が近年再び動き始めていることにも注目します。中国電力と地元自治体は、使用済み核燃料の中間貯蔵施設建設を検討していますが、住民や専門家は「一時保管」が将来的に恒久的な貯蔵施設へと変わる可能性を懸念しています。

住民たちは1983年以降、月2回のペース、のべ1300回以上のデモを実施してきました。建設受け入れの見返りとして提示された約10億円を拒否しました。しかし、長年の対立が島内の人間関係に影を落としている現実にも触れています。2014年に札幌から移住した男性は、「祝島の人々は『核のごみを押し付けられても構わない存在』として扱われている」と語り、この問題を地方差別という側面からも捉えています。

記事は最後に、日本政府が原発再稼働を進める一方で、使用済み核燃料の処分先が決まっていないという課題や、地震多発国である日本が抱えるリスクを指摘します。

「田舎には何もないと言われるが、ここには山も海もある。私にとっては全てがある」。記事は最後に、上関原発を建てさせない祝島島民の会の木村力代表(79)の言葉を紹介。経済合理性だけでは測れない地域の暮らしや自然を守ろうとする人々の姿を描いています。

現職市長の産休が「ニュース」になる日本

スイスのドイツ語圏日刊紙ターゲス・アンツァイガーは、日本最年少の女性市長である京都府八幡市の川田翔子市長(35)が、出産に伴い産前・産後合わせて約4カ月の産休・育休を取得すると発表し、大きな議論を呼んでいると報じました。現職の女性首長が産休・育休を取得するのは日本で初めてとされ、海外でも注目を集めていると伝えています。

記事は、日本では出産前後に休暇を取ることがキャリアに不利に働く可能性があると説明しています。地方政治家に占める女性の割合は4%未満で、働く母親に育児休業を認める法律はあるものの、市長には適用されないと紹介しています。

一方で、東京都品川区の森沢恭子区長は、「産休を取ることがニュースになるべきではない」と米紙ニューヨークタイムズに述べ、川田市長の決定を支持しています。記事は、日本の人口がこの5年間で300万人以上減少し、出生率も歴史的な低水準にあることから、日本は若い母親への支援を強化する必要があるという森沢区長の考えも伝えています。

記事は、日本がジェンダー・ギャップ指数で148カ国中118位、G7では最下位だったことにも触れています。また、「超国家主義で元航空幕僚長の田母神俊雄氏(77)が、出産や産休を希望する女性は公職に立候補すべきではない」と述べ、「公職にある人がこれほど長期間休むことに大きな違和感がある」と発言するなど、男性からの否定的な反応があったことも紹介しました。

一方で、川田市長の産休取得を歓迎する声もあると記事は伝えています。川田市長は「家庭生活を犠牲にすることなく、性別に関係なく能力のある人が責任ある立場で力を発揮できる社会をつくりたい」と語っています。八幡市民からは「模範となる市長だ」と高く評価されている、と記事は結んでいます。

抹茶ブーム、「ドイツ産粉末茶」が誕生へ

スイス・ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)は、世界的な抹茶ブームを受け、ドイツで欧州最大規模の緑茶農園が誕生しようとしていると報じました。記事は、抹茶はもともと中国に起源を持つものの、現在は主に日本で生産・消費されており、全世代にとってトレンディな飲み物になった、と紹介しています。

記事の中心となるのは、ベルリン近郊で緑茶・抹茶製造会社「Growing Karma」を設立した醸造学者のアンティエ・キューンレさんです。約25万本の緑茶を栽培し、欧州では前例のない規模の農園を築くことを目指しています。中国の茶農家から助言を受けながら、温室栽培とパーマカルチャーを組み合わせて生産を進めており、来年から販売を始める予定だといいます。

キューンレさんは、欧州で生産される茶は欧州の厳しい基準に従って栽培され、消費者が実際に栽培現場を見学することも可能だと説明。「極東から輸入される巧みにマーケティングされた商品とは異なる。品質の保証が格段に高い」と話しています。

一方、記事は、日本の農園から仕入れた抹茶を販売する専門店「Atelier Kyō」の創業者フランツィスカ・ウンゲヴィスさんの見方も紹介しています。需要が高まる中で欧州での茶栽培の取り組みを歓迎し、「アジアや日本から輸入するよりも持続可能であり、欧州独自の茶文化を育てる良い機会になる」と語っています。

【スイスで報道されたその他のトピック】

メルコスール、日本との経済連携協定の締結交渉を開始外部リンク(6/30)
石油大国ロシアがジェット燃料不足、日本から輸入か外部リンク(7/3)
周遊型寝台列車「Train Suite四季島」で豪華旅外部リンク(7/5)

話題になったスイスのニュース

線路が発電所になる――。スイスでレール間太陽光発電システムの試験運用が始まってから約1年が経過しました。安全・運用面で一定の成果が示され、ヨーロッパやアジア諸国でも導入への機運が高まる一方、技術的課題も残っています。

記事はこちら。発電の仕組みは記事内の動画でも詳しく紹介しています。

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校閲:上原亜紀子

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