スイスでは企業トップの高額報酬への反発が高い
Keystone
スイス政府が21日発表した報告書外部リンクによると、国の委託を受け公共事業を営む民間企業の経営者報酬が減少している。主な要因はボーナスの減額だ。
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スイス連邦鉄道(SBB/CFF)のアンドレアス・マイヤー総裁が2018年に受け取った報酬は98万7442フラン(約1億900万円)と、初めて100万フランを割り込んだ。17年は100万7千フランだった。
スイス郵便の金融部門ポスト・ファイナンスのハンスルエディ・ケーニヒ社長は82万8977フラン、国営の武器製造会社ルアグ(RUAG)のウルス・ブライトマイヤー最高経営責任者(CEO)は77万6795フラン、スイス傷害保険公社(SUVA)のフェリックス・ヴェーバーCEOは61万3375フランだった。
スイス郵便傘下のバス会社ポストバスのスザンヌ・ルオフ前CEOは、同社による不正事件の責任を取って18年6月に辞任したが、年末までの報酬が62万フランと前年(61万フラン)より多かった。うちボーナスは45万3280フランで、不正事件の捜査に決着がつくまで支払いは保留されている。
私企業の年収はさらに高い。2018年のCEO報酬調査によると、製薬大手ロシュや銀行UBSでは1400万フランを超える。
スイスでは13年、役員報酬に上限を設けるイニシアチブ(国民発議)が国民投票にかけられた。投票では否決されたものの、高額報酬に対する批判の目は厳しくなった。またイニシアチブの一部は法律に取り込まれ、上場企業の役員報酬は株主の採決が必要になり、「ゴールデンパラシュート」や「黄金の手錠」と称される特別待遇を禁止している。
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