The Swiss voice in the world since 1935
パーソナルフィード

ログインしてフィードにトピックを追加しましょう。

今すぐ登録
お気に入りリスト

ログインして記事を保存リストに追加しましょう。

今すぐ登録
トップ・ストーリー
スイスの民主主義
ニュースレターへの登録
トップ・ストーリー
ディベート
すべての議論を見る

議論されない州立銀行の自己資本、法定水準を大幅に上回る 専門家「過剰資本」 

チューリヒ州立銀行は、スイスにある24の州立銀行の中で最大規模の銀行だ
チューリヒ州立銀行は、スイスにある24の州立銀行の中で最大規模の銀行だ Keystone / Claudio Thoma

スイスの州立銀行は法定水準を大幅に上回る自己資本を保有していることが、チューリヒの信用調査会社インディペンデント・クレジット・ビュー(I-CV)の最近の調査で明らかになった。自己資本をめぐる議論がスイスの最大手行UBSに集中する一方、州立銀行の実態はほとんど注目されていない。

おすすめの記事

銀行の規模は、預金者や投資家から預かる資金と、住宅ローンや融資として貸し出す資金の総量で測られる。スイスの州立銀行は、この総資産が年率3%超のペースで増加している。

州立銀行24行の総資産は計8390億フラン(約170兆円)に達し、UBSのスイス国内事業(5010億フラン)をも上回る。

おすすめの記事
政府の要求により、UBSは自己資本基盤を強化しなければならない

おすすめの記事

スイス政府、銀行法改正案を閣議決定 海外子会社の資本全額を自己資本で保全

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦内閣(政府)は22日、UBSを念頭に置いた「システム上重要な銀行」に対する規制強化案を閣議決定した。焦点だった海外子会社への出資については当初案通り、全額相当を中核自己資本(CET1)から控除することを義務付ける。

もっと読む スイス政府、銀行法改正案を閣議決定 海外子会社の資本全額を自己資本で保全

「強固な資本バッファー(緩衝)」

規模の拡大はリスクを伴う場合もある。しかし、アナリストらは州立銀行について、現時点で問題ではないと言う。I-CVのクリスティアン・フィッシャー氏は「州立銀行は強固な資本バッファーを持っている」と話す。

実際、州立銀行の資本バッファーは法定水準を大きく超えている。スイス最大の州立銀行であるチューリヒ州立銀行の中核的自己資本(CET1)比率は21.2%で、法定要件を11.7ポイント上回る。シュヴィーツ州立銀行は22.6%と、13.4ポイント超だ。資本バッファーが最も小さいグラールス州立銀行でも、3.1%の「超過準備金」を保有している。

外部リンクへ移動

フィッシャー氏はこの状況を「完全に過剰資本化」していると表現し、「多くの人がこの事実を認識していない」と指摘する。同氏はドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)の取材に対し、もし銀行が資本バッファーを圧縮すれば、その資金を新規事業の資金調達に充て、収益を増やすことができると語っている。

スイスでは、UBSによるクレディ・スイス買収を受け、UBSの資本水準をめぐる議論が盛んに行われている。自己資本のさらなる積み増しを要求するスイス政府にUBSはは「すでに十分な資本を保有しており、さらなる積み増しを義務付けられれば競争力が損なわれる」と反発する。資金を手元に積み上げれば運用に回せなくなるうえ、投資家にとっての魅力も低下するとしている。UBSの2025年のグループ全体の中核的自己資本比率は14.4%と予測される。

おすすめの記事
2023年3月のクレディ・スイスの破綻後、スイスのカリン・ケラー=ズッター財務相とUBSのコルム・ケレハー会長。

おすすめの記事

職場

スイスは巨大国際銀行UBSを抱えきれるのか

このコンテンツが公開されたのは、 資本強化案をめぐり対立を続けるスイス政府とUBS。その背後には、大きくなりすぎたUBSを小国スイスが抱えきれるのか、という根本的な問題がある。

もっと読む スイスは巨大国際銀行UBSを抱えきれるのか

UBSでは大きな問題だが…

過剰資本の問題がUBSをめぐり激しく議論される一方で、なぜ州立銀行ではほとんど話題にならないのか。フィッシャー氏は株主構成の違いを挙げる。「州立銀行の筆頭株主は通常、州自身であり、UBSの株主ほど収益性を重視しない」と説明する。

州立銀行は伝統的に、高い収益を州にもたらすことよりも、地域経済を支えることを使命としている。各州にとっても、傘下銀行の潤沢な資本準備金は利点であり、万一の際の保証を提供している場合も多い。

しかし、問題が生じることもある。バーゼル・ラント州立銀行は昨年、持続可能性を掲げた傘下のオンライン銀行ラディカントの不振により、推定2億フランの損失を計上した。グラウビュンデン州立銀行もBZ銀行の買収をめぐり数百万フラン規模の損害賠償請求訴訟に直面し、最近話題となった。ザンクト・ガレン州立銀行は10年以上前にドイツへ進出したが、ドイツ子会社には今も数千万フラン規模の累積損失が残る。同行はドイツ事業には潜在力があると主張する。

フィッシャー氏は、「市場が違えば、リスクも違う。自分たちが熟知している分野にとどまっていた方がよかった」と州立銀行に慎重な姿勢を求める。

英語からの翻訳・校正:江藤真理

人気の記事

世界の読者と意見交換

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部