NATO、イラン戦争、AIバブル… スイスのメディアが報じた米国のニュース
スイスのメディアが15日までの1週間に報じた米国関連ニュースから、NATO、イラン戦争、AIバブルの3件を要約してお届けします。
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第36回北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が先週、トルコのアンカラで開催された。トランプ氏は会合前、対イラン戦略へのNATO加盟国の対応に不満を表明する一方、閉幕後には一転して称賛に転じるなど、発言の一貫性を欠く場面が目立った。
スイス・ドイツ語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガーは、「トランプ氏は世界全体を外交的なジェットコースターに乗せた」と評した。
記事は、「77年の歴史を持ち、相互信頼を基盤とする防衛同盟において、こうした一貫性の欠如は長期的には耐え難い」と指摘。「トランプ氏はロシアを米安全保障上の脅威とは見なしておらず、欧州の安全保障を米国自身の国益とも結びつけていない」と分析した。
一方で、欧州側の受け止め方には変化が見られるという。米国が資金・軍事支援を撤退させるといった事態に対する動揺は薄れつつあり、欧州各国は米国製軍事装備への依存から脱却し自国の防衛力を強化する「NATO 3.0」体制の構築に着手しているとした。
「欧州がようやく気づき始めているのは、将来、ロシアからの防衛において、米国よりもウクライナに頼る可能性が高くなるかもしれないということだ」
ただし、米国の核抑止力から離れることや、米国が長年培ってきた指揮・偵察能力の代替は容易ではなく、「移行期の数年間は危険なものになりかねない」と警告している。
中東では、ホルムズ海峡をめぐる緊張の高まりを受け、原油価格が上昇し、金利の先高観も強まっている。
スイスメディアの多くは、事態の背景に米国の対応があると指摘する。元国連外交官のポール・アンリ・アルニ氏はスイスのフランス語圏日刊紙ル・マタン日曜版に対し、「現在、米国が取る『アメとムチ』式のアプローチは、非合理的でどこにも行き着かない」と話した。
ドイツ語圏の日刊紙NZZは、湾岸地域からの原油輸出の正常化にはこれまで以上の時間がかかるとし、「長く、暑い夏になる」と指摘。「避けようがない。パンドラの箱が一度開いてしまえば、それを閉じるには多大な労力が必要になる。交戦当事者が対応を先延ばしにすればするほど、その代償は大きくなる」と論じた。
フランス語圏の日刊紙24heuresも、この戦争は「経済にとって恒常的な不確実性の状態」を意味していると指摘する。「インフレ圧力を強め、欧州中央銀行の再度利上げにつながりかねない。緊張の高い状態が再び続けば、家計の心理、ひいては消費に再び重くのしかかる恐れがある」
NZZは、大手石油会社が7月末に巨額の利益を発表すれば、トランプ氏は責任を業界側に転嫁するとの見通しを示した。ただ、前出のアルニ氏は、具体的かつ持続的な解決策が見出されるまでには、何年もかかるかもしれないと話す。
「イラン側の方がトランプ氏よりも時間的余裕があることを考えると、この戦争はトランプ氏がホワイトハウスを去るまで終わらない可能性が高い」と述べ、11月の米中間選挙後も事態収束は見通せないとの見方を示した。
ドイツ語圏のスイス公共放送SRFによると、金融市場では現在、人工知能(AI)に対し「巨額の賭け」が行われている。投資家はAIを次の大きな成長分野だと考えているからだ。しかし「これには正当な疑念がある」。
NZZ紙も、実証されていない技術に対して巨額資金が流入する状況について、2000年前後のITバブル(ドットコムバブル)や住宅市場バブルとの類似性を指摘。「今回は事情が異なる。おそらくより深刻だ」と懸念を示した。「AIカジノでの高揚感のために、私たちは最終的にどれほどの代償を払うことになるのか」
両メディアは、バブルを支える背景として、債券市場、プライベート・エクイティ、不透明な資金源を含む膨大な負債の存在を挙げた。米国の大手テック企業がライバル企業のプロジェクトに巨額投資を行い、相互に資金を還流させる構図も生まれているという。
NZZは「バブルが崩壊すれば、経済は何年にもわたり債務削減に追われかねない」と警鐘を鳴らした。
SRFは、金融市場のパニックは、企業の業績不振や製品の発売遅延といった些細なきっかけで簡単に引き起こされかねないと指摘。「株価下落の可能性は2000年や2008年のときよりもはるかに大きい。米国の金融市場は当時よりもはるかに規模が大きく、複雑化しているからだ。多くの米国人や外国人の資産がそこに置かれている」
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英語からの翻訳・校正:大野瑠衣子
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