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マリオ・ボッタ風 ミラノのスカラ座再オープン

マリオ・ボッタの塔が聳える新しいスカラ座。 swissinfo.ch

イタリアオペラの殿堂、ミラノ・スカラ座が2年半の大々的な改修工事を終え、伝統どおり12月7日、つまりミラノの守護聖人アンブロージョの日から再オープンする。改修に当たったのはスイスの最も有名な建築家、マリオ・ボッタだ。費用は約6千万ユーロ(約83億円)。

ミラノのシンボルで伝統的なスカラ座にマリオ・ボッタが加えた近代建築家特有の楕円形の塔が物議を醸し、反対運動なども起こったが改修は予定通りに終了した。

スカラ座改修大論争

 「これではもうスカラ座じゃないみたい」と、ある通行人は嘆く。スカラ座の建物の正面は変わらないものの、建物の後方には立方体の建物と縦縞の入った円錐の塔が突き出ている。この改修に反対する団体からの一連の上訴をやっとロンバルディア政府は退けた。

 マリオ・ボッタのトレードマークと言われる塔を賞賛するのは美術評論家でもあるビットリオ・スカルビ文化省次官。「この建築は素晴らしい。遠くから見える円錐の塔の直線が美しく、その着想が純粋だ」と絶賛。最新の技術を用いているため「スカラ座は欧州で最も機能的な劇場になった」と誇る。

お色直しに最新技術

 この立方体と円錐の突き出た塔の中には事務所、控え室、練習室(7室)や食堂などがある。舞台は昔より3倍広く、1,600平方メートル(奥行き70メートル)もある。ここの最新の舞台装置は5つの場面を配置できる。そのおかげで次の演目の舞台も予め用意できるので、これまでの年間上演数を80からいずれは160まで増やす予定だ。

 馬の蹄の形に配置された客席やボックス席、シャンデリア、天井の装飾やタピストリーなどは旧態に忠実に修復された。それでも最新技術は至る所に導入され、2,105もある椅子の一つ一つに翻訳機(伊、英、独、仏語)が付き、音響は抜群という。イタリア当局の発表によると音楽監督のリッカルド・ムーティもリハーサルで音響に満足だったという。

柿落としは昔どおり

 7日の柿落としは1778年のスカラ座創設当初と同じ演目でサリエリの『見出されたエウローパ』が選ばれた。初日はムーティ指揮、キャストはサッバティーニやバルチェローナといった凄い顔ぶれだ。この開幕式の切符の値段はボックス席などは2,000ユーロ(約27万円)で通常の10倍にも跳ね上がる。イタリアのベルルスコーニ首相やスイスのダイス大統領などが出席する予定だ。この日に改修の本当の成果が分かるだろう。


スイス国際放送  ゲマ・ウルソ、屋山明乃(ややまあけの)

– 18世紀にミラノ大公の大劇場が焼失したため、新しくサンタ・マリア・アラ・スカーラ教会の跡地に建築された劇場を「スカラ」座と名付けた。この教会の名前はかつてミラノを支配したヴィスコンティ家に嫁いだベアトリーチェ・デッラ・スカーラに由来する。

– スカラ座はジュゼッペ・ピエルマリーニの設計で1778年に完成した新古典主義の劇場だ。

– 200年前の改修もティチーノ地方の建築家、ルイジ・カノニカが行い今回もスイス、ティチーノ州出身の有名な建築家、マリオ・ボッタが手掛けた。

– 改修の費用は約6千万ユーロ(約83億円)。2002年から2年半かけて行われた。その間、スカラ座の公演は郊外に建設した近代的なアルシボルディ劇場で行われた。

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