The Swiss voice in the world since 1935

スイス第26の州、ジュラ州で独立40周年式典 ベルン州は参加せず

ジュラ州の独立40周年記念式典
連邦閣僚のアラン・ベルセ内務相らが出席して行われた、ジュラ州の独立40周年記念式典 © Keystone / Jean-christophe Bott

スイスで最も歴史の若いジュラ州で23日、独立40周年の記念式典が行われた。ジュラ州は1979年、第26の州としてベルン州から独立したが、ベルン州との軋轢はいまだに残る。この日はベルン州の代表団が出席する予定だったが、安全上の理由からジュラ州側が直前にキャンセルした。

独立40周年の記念イベントは21~23日外部リンクに行われ、計1万4千人が参加した。最大の行事が、23日に同州セーニュレジエで開かれた記念式典だった。

式典にはベルン州政府のピエール・アラン・シュネック外部リンク副知事ら代表団の出席が予定されていたが、土壇場でキャンセルされた。

シュネック氏は、自治体ムーティエの所属がベルン州からジュラ州に移ったとき、これに強く反対した政治家だ。同氏はスイス通信の取材に「(キャンセルは)式典当日の朝に知らされた。ジュラ州政府と警察から、身の安全を保障できないと言われた」と説明した。

シュネック氏は式典でスピーチをする予定はなかったものの、出席することで一部の活動家を刺激しかねないと懸念されていた。

ジュラ州政府のジャック・ゲーバー知事は、一部の活動家らはまだ過去にとらわれているとして「残念だが、極めてデリケートな状況だと伝えざるを得なかった」と語った。

センシティブな問題

土壇場でのキャンセルは、ジュラ州が所属問題にいかに敏感であるかを示している。フランス語圏のジュラ州は1979年、分離主義者らによる独立運動がきっかけで、ドイツ語圏のベルン州から分かれ、第26の州として誕生した。それ以来、州境に位置する自治体では、ベルン州かジュラ州か、どちらに属すべきかという議論が付きまとっている。

2017年6月18日、当時ベルン州の自治体だったムーティエ外部リンクは住民投票の結果、ジュラ州に入ることを決めた。だがこの投票をめぐり、本来は居住していない人が有権者登録し、選挙結果を不当に操作したという疑惑が浮上。調査に当たったベルン州当局が7件中6件の申し立てに正当性があり、投票を無効とした

この決定に移籍賛成派が強く反発し、異議を申し立てた。訴訟は現在も係争中だ。

アラン・ベルセ内務相は23日、式典で「訴訟結果が迅速に出ることが望まれる」と述べた。

式典前、活動家約300人がデモ活動を行い、ムーティエはジュラ州に帰属すると訴えた。それ以外に目立った混乱はなかった。

おすすめの記事
暴動

おすすめの記事

スイス・ジュラ州の独立運動 40年の歴史

このコンテンツが公開されたのは、 スイス第26の州、ジュラ。同州は1978年9月24日、国民投票の大多数の賛成を得てベルン州からの独立が認められ、翌79年に誕生した。ただ独立をめぐっては両者の間で大きな軋轢が生じ、40年以上経った今でもわだかまりが残る。

もっと読む スイス・ジュラ州の独立運動 40年の歴史

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

バーゼルの路面電車

おすすめの記事

バーゼルで「カラオケ路面電車」走行 欧州歌合戦に合わせ

このコンテンツが公開されたのは、 5月11~17日の欧州国別対抗の音楽祭「ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト(ESC)」開催中、バーゼルでは「カラオケ・トラム(路面電車)」が運行する。ビンテージ車両で90分間かけて街を走る間、乗客は無料で歌い踊ることができる。

もっと読む バーゼルで「カラオケ路面電車」走行 欧州歌合戦に合わせ
大阪・関西万博

おすすめの記事

スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール

このコンテンツが公開されたのは、 日本を公式訪問中のスイスのイグナツィオ・カシス外相は22日、2025年大阪・関西万博のスイス・ナショナルデーのオープニングセレモニーに出席し、結束と対話を呼びかけた。

もっと読む スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
クラウス・シュワブ氏

おすすめの記事

WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任

このコンテンツが公開されたのは、 世界経済フォーラム(WEF)は21日、創設者で会長のクラウス・シュワブ氏が同日付で辞任したと発表した。

もっと読む WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
コーデリア・ベール

おすすめの記事

TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出

このコンテンツが公開されたのは、 米誌タイムズの「2025年最も影響力のある100人」に、弁護士コーデリア・ベール氏がスイス人女性では唯一ランクインした。ベール氏は気候訴訟で異例の勝訴判決を勝ち取った人物だ。

もっと読む TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
卵の棚

おすすめの記事

ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス小売大手のミグロ(Migros)は14日、アッペンツェル・アウサーローデン準州ヘリザウにある1店舗を年中無休化すると発表した。

もっと読む ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部