スイス外務省、今後のアフガン支援の方向性を検討
女性への権利抑圧が続くアフガニスタンの現状を受け、スイス連邦外務省は8日、同国への緊急援助を継続できるかどうかは不透明だと述べた。
外務省のピエール・アラン・エルチンガー報道官が独語圏の日曜紙ゾンタークス・ブリック(同日付)に対し、今後の援助について他の援助国や国連、現地のパートナーと協議中だと述べた。
今後の資金配分は、アフガニスタンのパートナー組織が業務を遂行できるか、またどのように遂行できるかに応じ決定するという。
同国ではイスラム主義勢力タリバンの暫定政権が、NGOや人道支援団体で女性が働くことを禁止する命令を出した。これを受け、子ども支援専門の国際NGOセーブ・ザ・チルドレンやノルウェー難民評議会(NRC)など一部の援助団体が同国での活動を停止している。
女性は医療分野で不可欠
赤十字国際委員会(ICRC、本部ジュネーブ)は、現時点でプロジェクトは継続できているが、特に多くの女性が働く医療分野において女性の排除は「破滅的な結果」をもたらすと同紙に語った。
アフガニスタンで25年来活動するスイスの国際児童保護NGO「テールデゾム」の広報担当者は昨年12月、仏語圏のスイス公共放送(RTS)に対し、現地スタッフの約6割が女性であることに言及。「助産師、医師、ソーシャルワーカーなど非常に特殊な技能を持つ人たちだ。即座に代理を見つけることはできないし、そうすることにも抵抗がある」と語った。
スイスは、食糧不足が広がるアフガニスタンに年間約3千万フラン(約43億円)の人道支援を行っている。
エルチンガー氏は「外務省はタリバンの代表者に対し、今回の決定の影響にスイスが深い懸念を抱いていることを再度伝えた」とした。
英語からの翻訳:シュミット一恵
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