クレディ・スイスAT1債保有者、スイス金融当局を提訴
シリーズ クレディ・スイス危機,
エピソード 43:
クレディ・スイス(CS)の債券保有者がスイス金融当局を相手に訴訟を起こした。同社のAT1債(永久劣後債)発行総額170億ドルのうち45 億ドル(約6700億円)分の債券を保有している。英紙フィナンシャル・タイムズが21日報じた。
訴状は、連邦金融市場監督機構(FINMA)がCSにAT1債の無価値化を命じたのは「相応」かつ「誠意を持った」行動とは言えず、違法だと訴えている。
銀行整理では通常、債券保有者が株主に優先する。だがUBSによる買収契約では株主に投資回収の余地が残る一方、AT1債の保有者は全額が無価値となり、批判を招いた。
FTによると、訴訟は19日、スイス東部ザンクト・ガレン市にあるクイン・エマニュエル法律事務所が提起した。
同事務所のマネージングパートナー、トーマス・ヴェーレン氏は「FINMAの決定により、スイス金融業界の法的確実性と信頼性に対する国際的な信用が損なわれた」と語った。
事務所を率いるクイン・エマニュエル氏は債券保有者団体の顧問に就いた今月初め、この団体は元本総額の「かなりの」割合を保有していると話していた。
FINMAはロイターの取材に対し、訴訟についてのコメントを拒否した。CSからの応答もなかったという。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
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