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CSは「義務の大部分を履行していた」 スイス金融当局が年次報告書

クレディ・スイス
どれだけ厳しい金融規制も、クレディ・スイスを経営危機から救うことはできなかった © Keystone / Michael Buholzer

スイスの連邦金融市場監督機構(FINMA)は26日に発表した「システム上重要な銀行(SIFIs)」に関する年次報告書で、クレディ・スイス(CS)はUBSによる買収が決まった当時、波乱を伴う破綻を防ぐ手段をほぼ全て備えていたと総括した。

報告書外部リンクは原則として2022年末時点の資産状況などを審査したものだが、今年3月に決まったCSとUBSの買収についても触れた。詳しくは次回以降の報告書で評価する。

買収交渉は3月中旬の週末に急進した。政府は緊急事態条項を発動し、UBSが損失を被った時のために90億フラン(約1兆3000億円)の政府保証を当てることが決まった。この結果に対し、2008年の世界金融危機後に設けた金融規制が役に立たなかったとの批判が出ている。

これについて、FINMAは報告書で「too big to fail(TBTF、大きすぎて潰せない)」規制がなければ事態ははるかに悪化していたと主張した。

FINMAのアーバン・アンゲルン長官は声明で「CSを巡る出来事は、危機に対して具体的な備えを講じることがいかに重要かを物語る。10年前は再編計画や緊急計画は存在しなかったが、(今回は)当局は選択肢として持っていた」と語り、危機的状況への対処について教訓を得るべきだと強調した。

SIFIsは財務上の損失をカバーするための資金を確保し、破綻処理計画を策定する義務がある。FINMAは報告書で、CSはこうした義務の大部分を履行しており、2022年に政府が命じた追加措置にも対応する過程にあったと指摘した。

2行はなお資本不足

スイスのSIFIsはCSとUBS、ポスト・ファイナンス、ライファイゼン銀行、チューリヒ州立銀行の5行。報告書は他のSIFIsに関しても判定を下した。

ライファイゼン銀行グループはリスクを軽減し、最悪の場合に秩序だった方法で解散するために必要な措置を全て実施したと評価した。

一方、チューリヒ州立銀行は流動資本を完全に確保していないと指摘された。

スイス郵便局の金融部門であるポスト・ファイナンスについては、連邦行政裁判所が今月、FINMAによる資本増強命令を支持する判決を下した。また連邦議会は同行に完全な銀行免許を与えるという政府提案を否決した。FINMAはポスト・ファイナンスがこうした決定を受け「緊急計画を修正しなければならない」と指摘した。

英語からの翻訳・編集:ムートゥ朋子

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