
クレディ・スイス、巨額の年間損失を計上

スイス第2の銀行クレディ・スイスは、2022年の決算が73億9300万フラン(約1兆円)の赤字と発表した。
赤字幅は2021年の16億5千万フランから大幅に拡大。2008年の金融危機以来(82億フラン)の高水準となった。
クレディ・スイスは「市場の不確実性と顧客のリスク回避を伴った厳しいマクロ・地政学的環境」による「悪影響」が理由だとした。
2022年中、富裕層顧客による預入資産の引き出しが約1232億フランに上ったことを受け、運用資産総額は約20%減の1兆2940億フランとなった。
ウェルスマネジメント事業の運用資産は、2021年末の7430億フランから昨年は5400億フランに減少した(27%減)。
同事業の業績は、同行全体の健全性を示す重要な指標と見なされている。
クレディ・スイスは、2023年はリストラ費用でさらなる損失が発生する可能性が高いとした。
同行は昨年10月、9千人の人員カットとリスクの高い投資銀行部門を縮小する大規模なリストラ計画を発表。経営陣は、ウェルスマネジメントと国内向け事業に再び注力することで経営を好転させると約束した。
また金融市場に参入し、中東を中心に40億フランを新規に資本調達した。
同行はここ数年、多額の取引損失や訴訟、顧客データの大量流出、複数のトップマネジメントの退任など不祥事が続いていた。
最も打撃が大きかったのは、英金融サービス会社グリーンシルと米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメント(いずれも経営破綻)との取引で数十億ドルに上る巨額の損失を出した問題だ。
幾度となく警告のサインを無視したと批判されたクレディ・スイスは現在、社内リスクカルチャーの見直しを進めている。
英語からの翻訳・宇田薫
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