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クレディ・スイス最後の株主総会 経営陣への批判で紛糾

クレディ・スイスの株主
クレディ・スイスならぬ「クリミナル(犯罪人の)スイス」――最後となるクレディ・スイスの株主総会で、経営幹部に対する怒りをぶつけるために出席した株主 © Keystone / Michael Buholzer

ライバル行UBSによる買収が決まったクレディ・スイス(CS)は4日、167年の歴史で最後となる株主総会を開いた。議論は5時間にわたり、株主は崩壊を止められなかった経営陣に対する怒りから、統合までの給与案を否決した。

チューリヒで開かれた総会には1700人超の株主が出席(CS発表)。何十人もの小株主が壇上に上がり銀行の経営陣に対する怒りをぶつけ、株式の価値が1フラン(約145円)を下回ったことに抗議した。

株主は、アクセル・レーマン会長ら取締役会役員7人が続投する人事案を投票で可決。ただレーマン氏への続投は55.67%と僅差の可決だった。役員に最大で1300万フラン(約19億円)を支払う案にも同意した。

一方、ウルリッヒ・ケルナー最高経営責任者(CEO)ら経営陣の残りの任期の基本給を最高3400万フラン(約49億円)とする案に対しては賛成票が48.23%と、可決に必要な50%に届かなかった。

これを受けてリーマン氏は「どう対応するか、考えなければならない」と述べた。取締役会は、株主が受け入れ可能な新しい提案をする必要がある。

CSはこの数年不祥事が相次いで損失が拡大した。スイス政府は先月19日、有事条項を行使してライバル行UBSへの売却を推し進めた。

買収が完了するまでの数カ月間、CSは独立した会社として運営し、1856年に設立以来の歴史に最後の章を刻む。

レーマン氏は株主総会の冒頭演説で、「今日はあなたたちにとっても私たちにとっても哀しい日だ。過去のスキャンダルや数々の悪いニュースを、前向きな見通しに変えることができなかった」と述べた。

同氏はCSが敗北を認めざるを得なくなった先月、「ハンドルを握っていた」人間を代表して謝罪した。

ケルナーCEOは、UBSによる緊急買収がCSにとって唯一の選択肢だったと語った。「CSが破綻していれば悲惨な事態になっていただろう。私たちにとってだけでなく、世界経済にとって」

買収に伴い、総会直前に議案から2件が削除された。1つは取締役会の2022年度の法的責任を免除する案。昨年始まった5年間の組織再編(リストラ)計画の報奨として取締役員に3010万フランの特別ボーナスを与える案も、再生計画が完了しなかったため議案から外された。議決権行使に助言する米国のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズや米グラス・ルイス、スイスの年金連合エトス財団らは、両案に反対票を投じるよう推奨していた。

CSは昨年10月、従業員9000人を解雇し、リスク資産を大きく削減すると発表した。また破綻回避のため40億フランを増資した。

だが顧客からの信頼回復にはつながらず、1230億フランの預金が流出。2022年に73億フランの赤字を計上した。

英語からの翻訳・追記:ムートゥ朋子

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